ラブライブ短歌集『幾百億秒の呼吸』

 僕ラブ16(2017/5/28)にて頒布したラブライブ短歌集『幾百億秒の呼吸』収録の全作品を公開いたします。 

 

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ほのかなる予感と僕は駆け抜けた幾百日を幾千日を
それぞれの事情の中でそれぞれの予感未満が震え始める
この場所は雨が降ったら使えないだけど一番空に近いね
世界中ここにしかない存在を賭けるに足りる歌は生まれり
高らかに響く産声存在を叫びつづけよ驕りはるかに
まっすぐにかよわい声を届かせて背中くらいは押してあげるわ
あらためて予習をしよう小泉さん星空さんはわたしの友達
夢を見て夢見夢見て夢を見て暗い小部屋に光が射した
お利口にならなくたっていいんだよ?ちっちゃなちっちゃなエリーチカ?
絢瀬絵里が否定するものにどうしようもなく惹かれていくエリーチカ
眼を閉じて心の底に何がある?否定できないうずめきがある?
その瞬間心に起きたさざなみを疑わないでその手のばして
音ノ木の芝生は痛いほど青くさえぎるもののなくなった空
果てもなき予感に満ちるこの身体の脈打つ調べを青春と呼び
屋上に十八本の脚がありその愛しさや思い知るべし
秋葉原街の呼吸はせわしなく絶えず酸素を送りつづけよ
「面倒な人」はお互い様だものカッコつけずに笑いましょうよ
私には翼がないよ大空に機械の羽で飛び立ちたかった
羽のようにあげた両手が風つかむその日をきっと疑わないで
あるだろう幾通りかの分かれ道奇跡の虹を渡った先に
「輝きをまってた」空に一筋のこのゆび止まれ集いくるもの
時として筋の通らぬ青春を熱量だけでガッともってく
はじまりの産毛のことりの手触りを忘れぬように忘れぬように
μ'sはねせっけんじゃないよ素敵なね9人組の女の子だよ
この道を高坂穂乃果走り抜け後に残れる光と風と
9人のこんなのはもう奇跡よねだって全部がだって愛しい
絢瀬絵里甘くて甘いチョコレートと8人の友を愛した女
大切なものを包めと命じつつ九人九色の羽衣を織る
水温む季節は君をうみだして大河は未だ海へ至らず
快楽はクレッシェンドに凪の海は祭りのあとの光を映す
冬の日の星空凛と冴えかえり身軽な君を吸い込んでいく
野良猫が戯れる道帰り道あそこのステップ復習しながら
寂しくて寂しくてでも止まれない鼓動が誰かを探していたの
「愛してるばんざい」なんてあてもなくいつか世界を変えると知らず
この音は果てなく遠く高く伸びて必ず今と未来をつなぐ
こんなにもノゾミカナエテいいのかなささやかすぎる夢だったのに
恋かしら?愛かしら?もうどちらでも 今大好きな人たちがいる
花笑みとふ言葉は君のためならん小さき泉に陽は花咲けり
誰よりも他人の思いを想う人愛も平和もあなたに捧ぐ
矢澤にこ白き膚のその奥を過剰な夢が赤々流る
「よくもまあ面倒な女ばっかりが集まったわね」「お前が言うな」
週5から週7で会う友達がこの先できるか正直不明
あてもなくつむがれだしたno title言葉を得てよ声を乗せてよ
推敲の果ては見えない僕たちの今を歌えば今が見えない
「真姫にならきっとできます」そう言ってきらめく言葉押しつけし人
にことまき磁石のようにひきあえば地軸がそっと恋に傾く
「あんたとはいつかこうなる宿命とわかっていたわ高坂穂乃果
「ねえ海未ちゃん僕たちって誰たちのこと?」「ふふふ穂乃果は穂乃果ですね」
「駅前の話題のお店で買ったのよきっと希が好きだと思って」
私には縁がないわと思ってた放課後寄り道買い食いプリクラ
天使待つ夢の扉の向こう側はこちらよりややかけがえがなく
お風呂場の鏡に写る筋肉の影が半年前と異なる
歌うって楽しいものね感じれるからだのありかこころのありか
明け方の君の瞼の色思う琥珀色ならまだ追いつける
かがやきは光の速さ駆け巡り無数の並行世界を結ぶ
可燃性世界みるみる燃えていくほのかな光射した場所から
一度点されてしまった灯火の消し方ずっと知らないでいる
白い鳩なんてチープなメタファーで語れてしまうシンプルな夢
恋愛じゃなくても愛は歌えるのたとえば名前をつけた女神に
いつもそっと見守りつづけてくれたきみの最初で最後のわがままは 愛
震う手に幾夜幾世を契っては終わりばかりを考えている
物語には終わりがあると知っていた子どもの頃の本に書いてた
泣かないと決めたその声泣いている夕暮れ時の色は仮借なく
僕らだけの海辺でμ'sは僕らだけと僕らは決めた。僕らは、泣いた。
たまきはる光彩陸離の官能よさあ今ここの奇跡を歌え
屋上に記憶は巡り僕たちが遂げた幾百億秒の呼吸
思い出のノートブックをめくりつつ気持ちを少し切なさに倒す
片手では持ち重りする思い出を両手いっぱい抱きしめていて
いつまでも青く青く青く青く青く青くあれ青き青春
容赦なく次の予感は訪れてカーテンコールにはまだ早い
君が笑い怒って泣いたその場所は僕が今いる場所と地つづき
君たちの日常だったこの場所を聖地などとは呼びたくなくて
あなたでありわたしであるところのあなた同じ地上に生きているあなた
「君は誰?」問いは無限に跳ね返り6年間の恋の振幅
限られた時間の中で精一杯輝こうとするスクールアイドル
このときの矢澤にこ氏の心情を5文字以内で答えよ「遅い!!!」
乙女らよ女神を騙れ晴れの日の歌が大気に満ち満ちるから
あの場所に東京ドーム何個分の夢があったのだろうと思う
Finalは終わりじゃないってロジックをお祖母ちゃんにも伝えたい春
forever foreverって言わないでそんなすぐには整理できない
感傷はありますそれもものすごくでも後悔はないと言い切る
彼女たちのこれからが不確定であることがうれしい 永遠の形
アンコールの響きは胸にとっておきいつか取り出す自分のために
あまりにも猛スピードで駆けたからそろそろ光追い越したかも
有難いことだったんだ文字通り十八人がそこにいたこと
屋上に刻んだ文字は空に溶け次の誰かの大きな呼吸
喪失は喪失として抱えおき太平洋のようなこれから
μ's後の日本はいろいろあったけど東京ドームはたぶん首都だよ
達成感?それもあるけど何かこうもうちょっとすごいやつだと思う
ありがとう楽しかったよ最高にこの9人がこの9人で
ああダメだ、ふっと寂しい。夕暮れや音楽チャートや電車広告や
これからを語る言葉をポケットにただ続いてく日常があり
これからも私は私を生きてゆく君があなたがくれた私を
放課後の教室なんてありがちで馬鹿らしいほど涙が出るの
音ノ木の桜散華と降り注げその者たちの面影の上
奇跡ならここにあるよと言いたげに胸の宝石ひらめかす君
僕がまだ知らないころから君たちは未来のための息をしていた
私じゃない 誰かと生きる あなた忘 れないでね私が 少女だったと
憧れた君の姿は行き過ぎて小路にひとり馨れ春情
BiBiBiBiBi青空に歌えばBiBiBiBiBi舞い降りてくるあくの帝国
オレンジの光は光呼びあって雪舞う歌の約束作る
「君は誰?」問いかけあった六年の癒えぬ誇りが降り積もってく
MOMENT RINGほろほろ微分して輝き流る瞬間を抱き
永遠をことほぐなかれ終わらない夢のつづきをいま生きている
時を巻き戻せるのならもう一度時を巻き戻さないと歌う
挽歌ではない歌たちをききながら君が最後に振った手のひら
止まらない戻らないものを時間と呼び時間の中で生きてたかった
はじまりの産毛の小鳥発つ空は虚構のように澄みわたりたり

(全108首)